Vol.003
雑草という草はない

 
  
今から12年前の2005年、倉敷アイビースクエアで行われた「よろずまんなり博覧会」で展示用の10平米ぐらいの庭全体に「えのころ草」を植えました。私が、一般的に雑草とされる植物を初めて使った庭でした。そして、2009年岡山緑化フェア、2010年インターナショナルフラワーandガーデンショーの展示作品には、それらの植物を多く用いました。
私はよく、自然に生えている雑草達に植栽のバランス感覚を学び、個人邸の作庭でも度々、近くに生えている草達を拝借し植えたりしました。 そんな草達(雑草と呼ばれている)も可愛い花を咲かせます。近くに生える草達を庭に取り入れる事は、その地域の環境にあっている為、強くローメンテナンスになると思います。ただしその草達を庭の景色として活かしきれるかどうかは、作り手の技量一つでしょう。
 
牧野富太郎博士は「雑草という草はない、それぞれに名前がある」と語られた事があるらしい。 日本には古来から、外国の珍しい植物を庭に植え観賞する文化があります。 物が溢れている今の時代は、外国のいろいろな物も手に入りやすくなって、より、珍しい物が珍重され、ますますエスカレートしているような気がします。もちろん、それも植物に対する向き合い方の一つであると思いますし、人は自分の知らないもの、見た事のない物に対する興味は尽きないものだと思います。
それに対して、雑草とされる植物は珍しくもない、どこにでもあるようなものですが、違う環境の地域であれば珍しい植物かもしれません。それは、その地域の環境によく適合しているため強く、繁殖しやすいということです。 珍しい物に魅かれ、美しい花をつけるものに魅かれるというのは、あたりまえの感覚でしょう。 しかし、雑草と呼ばれる植物達に美しさと魅力を感じることにも感性の豊かさを感じます。

 
倉敷に「暮らしと植物」の三宅淳子さんといわれる方がいらっしゃいます。庭や観葉植物のコーディネイト、アレンジメントなど植物で暮らしをゆたかにする提案をしておられます。 三宅さんの作品の中に「身近な植物の植物標本」というものがあって、雑草と呼ばれているような身近な植物を額装し、図鑑で名前を調べて標本にしたもので、美しい作品になっています。絵画ではなく標本そのものですが、これもボタニカル・アートと呼べるものではないでしょうか。「道ばたの雑草ではなく、ノボロギクであったり、ハハコグサ、オニタビラコニ、カラスノエンドウ…」すべてにちゃんと名前がある。その植物標本は、そういったことを気づかせてくれる物でした。
 
雑草の庭…人の心ひとつだと思います。身近な草達に美を感じる心。生命力を感じられる心 その様な心を刺激する庭を作れる様に頑張ります。
「暮らしと植物」 https://www.kurashitoshokubutsu.com/
 
   
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